はじめに
書評「うつとよりそう仕事術」の前半を昨日載せた。
今日はその後半。
【書評】「うつとよりそう仕事術」著者 酒井一太さん
目次
【ステップ1】 生活編 復職までにしておくこと
【ステップ2】 基本編 仕事に対する考え方を改める
【ステップ3】 応用編 職場でできる小さな工夫
【ステップ4】 改善編 うつとつき合う小さな工夫
この構成で書かれていて、42の小さな工夫が、一つずつ詳しく解説されている。
長くなるので、2回に分けてまとめた。毎回、ステップごとに、引用→内容紹介を書き、→感想を書いていきたい。
引用(ステップ3)
【ステップ3】 応用編 職場でできる小さな工夫
・朝、計画ではなく「シナリオ」を練っておく
他者の振る舞いを100%事前に予測することは不可能です。不可能ですが一度「こう出てくるかもしれない」「こういう返答をしてくるかもしれない」と一つの事案に対して、最良のケースから、最悪のケースまでも想像しておくことで、心の余裕と対応の余裕が生まれます。
・復職当初は「裏方仕事」を率先して受ける
「裏方仕事」はみんながやりたがらない仕事なだけに、率先して黙々とやっていると、ものすごく目立ちます。ただでさえ、うつ病を患っているという目立つ立ち位置の人が「裏方仕事」をやっているのですから、なおさらです。すると、おそらくみんなも「何だか悪いなあ」と思うのでしょう。「サンキュー」とお礼まで言ってくれるようになります。
・怒りはキチンとボールにぶつける
笑顔で対応しつつ、拳に握った小さな「握力ボール」を力いっぱい握るのです。
・苦手な人にはレッテルを貼る
苦手な人の性格を「性格診断」して、この人はタイプAだから、こういう人は好きだけど、こういう人は嫌いなはずだと勝手に判断して、嫌いと思われることだけはしないように注意して話すようにしたのです。
内容(ステップ3)
引用で上げたのはほんの一部で、職場でできる小さな工夫が、たくさん記載されている。特に、「予防」の観点で対策がされ、「仕事を休んでも」「心に不安や混乱が大きくなってきても」「トラブルが起きても」大丈夫な対策を具体的に記載している。
感想(ステップ3)
こんなにいろんな角度から対策を立てられるものだと感心した。特に私の場合は、うつになったときは周りの人の声に影響されてしまうことが多かった。相手にレッテルを貼って相手が嫌がることをできるだけしないようにすることは、とても有効だと思った。
引用(ステップ4)
【ステップ4】 改善編 うつとつき合う小さな工夫
・あの日からの成長を信じよう
どんな些細なことでも何でもいいのです。一日を過ごせば、何かしら私たちの心は形を変え、その変化はたとえ可視化できなくとも、言葉にできずとも、心のどこかに蓄積されます。これは「成長」していることにほかならないはずだと私は信じます。
・「うつ病だから」はやめよう
私はうつ病は「腐れ縁」のようなものではないかと思います。無理に関係を断ち切るのではなく、「できるだけおとなしくしておいてくれればいいや!」くらいの考え方のほうが、うまくいくのではないでしょうか。
内容(ステップ4)
うつ病は完全に治るというのは難しく、うまくつきあっていくことが大切になってくる。うつ病が悪化すると、生きる意味が持てなくなってくることもあるが、頑張りすぎずに生きる目的を持っていく方法が、いろんな角度で記されている。
感想(ステップ4)
「あの日からの『成長』を信じよう」は、とっても勇気づけられる言葉だった。生きるのをやめたくなることが、フッと頭をよぎることもある。でも、せっかく生まれてきたんだから、命は粗末にしたくないし、苦しすぎるのも嫌だ。生きるのが、少し気楽になる言葉が、ちりばめられていたと思う。
まとめ
「さすが、苦労して苦労して復職し、仕事を続けている人の言う内容は、学者が書いたものと違い、説得力があるなあ」という気持ちが一番だ。買って読んで、道しるべにしていき、困ったときに振り返ってみるといいんだろうなと思った。
巻末には、コラムで「うつ病患者が考えるうつ病の人との接し方」もまとめられているから、周りにいる人にもぜひ読んでもらい、「こんなに苦労してるんだ」って感じてもらえるだけでも価値が大きい。
最後に
読んでくださり、ありがとうございました。